予実管理/予算管理システム~Workday Adaptive Planning|予実管理、効率よく予算編成/集約管理するならクラウド型BIツール

株式会社ネクスティエレクトロニクス

NEXTY Electronics Corporation

【プロジェクト対談】

エレクトロニクス業界のリーディングカンパニーとしての挑戦
~ネクスティエレクトロニクス様(豊田通商グループ)~

プロジェクト実施の背景

株式会社ネクスティエレクトロニクス様は豊田通商グループに所属する、日本最大の半導体商社です。
昨年、株式会社トーメンエレクトロニクス、株式会社豊通エレクトロニクスの2社が合併しエレクトロニクス商社として世界第4位の規模になりました。豊かな社会づくりに貢献することを経営理念に掲げ、技術商材を核としてIoT、産業機器等、幅広い分野でお客様や世の中のニーズに応え、社会の課題を解決するソリューションを提供しています。また昨今では、自動運転に向けたカーエレクトロニクス技術の発展を進めています。
企業合併に伴うシステム、業務の整備を急ピッチで行いながら、将来予測のための業績管理基盤として“Workday Adaptive Planning”(Adaptive Insights社の予実管理クラウドサービス)を採用し、2017年11月よりWorkday Adaptive Planning導入プロジェクトを開始しました。

事業の収益性を高め、ビジネス拡大を推進する

株式会社ネクスティエレクトロニクス コーポレートユニット 財務・経理部 部長 藤永利明 様株式会社ネクスティエレクトロニクス
コーポレートユニット 財務・経理部 部長 藤永利明 様
株式会社ネクスティエレクトロニクス コーポレートユニット 財務・経理部 浅井順二 様株式会社ネクスティエレクトロニクス
コーポレートユニット 財務・経理部 浅井順二 様

(編集・プロジェクトマネージャー:小野雄一郎)

■(小野)商社という業態において、エレクトロニクス業界に限らず様々な分野でM&Aが盛んな印象を持ちますが、その中で御社の特徴を教えてください。

(藤永)弊社は昨年4月にトヨタグループに強みを持つ豊通エレクトロニクスと、トヨタ以外の車載顧客に強みを持つトーメンエレクトロニクスが合併した会社です。自動車に限らず、2社がそれぞれ別の顧客を持っていた中での合併となったため、カニバリゼーションがほぼなく規模が拡大でき、取り扱う製品ラインと顧客基盤が強化され、合併の結果としてお客様からのご相談に以前よりも幅広く応えられる競争力をつけられたと考えております。

■(小野)なぜ幅広く応えられることが、企業としての競争力となりえるのでしょうか?

(浅井)現在、TVやPCなどを代表とするデジタル家電、スマートフォンやタブレット端末、さらにエコカーやゲーム機器などのエレクトロニクス製品の進化が非常に目覚ましく、半導体市場は拡大しております。
また先進国だけではなく、新興国の経済発展もそれに寄与しており、特にアジア地域には世界のエレクトロニクス産業が集積し、今後も大きな成長が見込まれる状況です。
お客様のニーズやテクノロジーも常に変化する状況に対し幅広く対応できないことは弊社として仕事を受ける機会損失となってしまいます。

■(小野)幅広いニーズに柔軟に応えるために、何か注力していることはありますか?

(藤永)技術商社を目指し、グローバルなトレンドに注視しながら弊社としてのコア技術の構築に日々取り組んでおります。昨今の自動車業界はクライアントからの電動化・自動運転の要望が、ダイレクトに提供するソフトウェアに影響を及ぼすため、弊社も市場のトレンドに追随するべく商社でありながらエンジニアの採用に注力することとなりました。
とりわけ海外は国の施策による影響が大きく、ヨーロッパの場合だとCO2排出量の大幅削減規制があるなど、地域ごとに自動車関連市場に求められている技術力が高まっている状況です。
そういった中で、弊社は自動車業界の要望に対し海外の半導体メーカーから最適な商品を提供することはもちろん、自動車業界が求めている商品の製造をメーカーに依頼するなど、弊社の高い技術力で付加価値をつけ、自動車業界とメーカーの橋渡しをすることで、変化の激しい市場においてもお客様のニーズに柔軟に対応することを目指しています。

対談風景

■(小野)市場の流れに対して必要となる人材を検討し、雇用する、ということですね。
世の中の流れにあわせて即座に企業側が変容するという、良い事例だと思います。ちなみに、私共が属するIT業界もある大きな変化が起きています。それは、お客様がITベンダーを選定する方法が、”人”依存になりつつある、ということです。

主に欧米を中心にですが、「この人は優れたプロジェクトマネージャーだ」とビジネス向けSNSなどで評価されないと、仕事が段々来なくなるのです。これは、IT製品の発達が激しく、種類が多すぎるために、お客様側が”製品”で選ぼうとすると選定負荷が高まってしまうという実情と、「プロジェクト成功には、製品が何かということに加え、優秀なプロジェクトマネージャーの存在が大きく影響する」ことをお客様側が理解し始めている、という二つの要素から起きていると思われます。

これによりSNSやメディアに取り上げられている、信頼性の高い”人”への相談が増え、そのプロジェクトマネージャーが紹介するIT製品の導入プロジェクトが受注されたり、IT製品導入前に提案しているプロジェクトマネージャーの経歴や経験値をビジネス向けSNSなどでお客様が事前に確認し、信頼性を検証してからプロジェクトを採用する、という流れが生まれております。

実際に私の身近な例ですが、シリコンバレーで働いている仕事仲間などはプロジェクトマネジメント力向上のため、難易度の高い仕事や異なる分野の事に挑戦しスキルを磨いています。新たな仕事が得られるように、自分の“資産”となるプロジェクト事例をハングリーに積み上げていくのです。
また彼らは毎年同じ仕事をしていることが自身のリスクを高めることだと理解しています。その結果、人材育成でも管理職は部下に対し、所属している会社の基盤となるスキルの獲得を促しつつも、市場の変化が激しいIT業界の実情を踏まえ、「数年後のあなたはその同じ仕事をしている保証があるの?」と問いかけ続けます。部下側も、自分の市場価値を上げるよう育成してくれる上司についていき、お客様に“モテる”優れたプロジェクトマネージャーを目指す、といった価値観が普及しつつあります。

(藤永)自動車業界もITの影響を受ける比重が非常に大きくなっており、前述の通り弊社も商社ながらエンジニアを採用する方針をとっていますが、とても興味深いトレンドですね。市場価値の高い仕事に取り組むことが、会社として収益の拡大という面だけでなく、雇用や人材育成の面でも重要だと改めて感じます。

■(小野)仰るとおりですね。弊社としても、市場価値の高い仕事に積極的に取り組んでいき、お客様に評価されるプロジェクトマネージャー育成を進めていきたいと思います。

■(小野)次に、藤永様、浅井様が所属している財務・経理部のミッションについて教えて下さい。

(浅井)財務・経理部は経営層が全社的な意思決定を行うための戦略策定に必要な財務データ(制度会計、管理会計)のとりまとめ、IFRS適用企業である親会社(豊田通商株式会社、以下豊田通商)への業績報告、及びそれらの運営における仕組み化などを行っております。
具体的には、企業合併に伴う基幹システムの整理、予実分析、KPI管理、業績における計画値の各組織からの集計から豊田通商と弊社の業績のトップダウン、ボトムアップ数字の調整などです。

Workday Adaptive Planning導入プロジェクトについて

■(小野)業務改革を行うことになった経緯について教えて下さい。

(藤永)一番のきっかけは、以前は経営企画部が主幹だった予算管理における計画値の集約が我々財務・経理部に移管となったことです。
約2,000億円の同規模の2社が合併し企業規模が2倍となったため、管理する組織数が単体内の組織に加え関係会社も含め400近くとなりとても現行の人員リソースでは対応できないと判断し、業務を改革しようと考えました。
実は以前御社で行っていたセミナー (業績見通しのブレを2%以内に収める方法[2015/11/19]) に参加したことがあり、実務担当者に内容を紹介し過去に検討も行っておりました。
その後担当者が日々の業務に追われ業務改革へのリソースが当てられなかったこともありそのままにしていましたが、今回の合併に加え計画策定業務が財務・経理部主幹となったこと、また業務量が2倍になることによる通常業務の安定化に懸念をもったため、このタイミングで再度テコ入れを検討いたしました。

■(小野)Workday Adaptive Planningを採用いただいた決め手、良かったポイントはどこでしょうか?

決め手は特に製品の柔軟性と製品完成度の高さ(※参考画像1)です。
まず柔軟性についていいますと、弊社は前述のように合併したことで組織や入力項目の構成が今後大いに変わる可能性があり、Workday Adaptive Planningを使うユーザ側で設定を変更していける柔軟性がないと、業績管理ソリューションを採用するタイミングとして難しいと思っておりました。
次に製品完成度の高さについてですが、
①現場からの数値集約というボトムアップ型、と
②本社や豊田通商からの(IFRS組換えを伴う)数値の400組織へのトップダウン調整型
という2つの数値調整の形態をきちんとシステムとして運用を想定している点を評価しました。
また導入事例としてグローバルでTOYOTAが使っていたことも、ソリューション上申にあたり採用要因になっていたかと思います。

※参考画像1

※参考画像1

■(小野)製品完成度の高さに関する①、②のどちらかに対応していないと、どんなことが発生するのでしょうか?

(浅井)本来の業績管理業務のうち半分がソリューションに乗らない、ということを意味します。
①でいうボトムアップ型へ対応しているということは、計画策定の中でもたとえばスプレッドシートによる数値収集業務を効率化することができる機能であり、多くのシステムにある機能だと思います。しかし、実際の計画策定はボトムアップ型だけではなく、最終的に経営層や豊田通商からの意向を入れた形で各現場の数値を微調整する、というトップダウン型の調整が必要です。
この②に関してWorkday Adaptive Planningは当然機能が備わっていましたが、もし対応していない製品を選んでしまった場合、月次での全社的な業績のバランスを見て調整する業務は業績管理ソリューション外で行う必要が出てきてしまい、結局は計画策定業務の数値収集という一部業務のみしかシステム化できていない、という状態になってしまいます。さらに、確定した年初目標や四半期毎の修正目標数字をトップダウンに反映させる際、各組織のスプレッドシートを1つ1つ立ち上げ、数値修正をする作業は非常に手間がかかります。

■(小野)ちなみに、予算管理、予実管理に関する仕組化のご提案をすると企業様によっては採用を否決されるケースがあります。
というのも、実務担当者の方は日々スプレッドシートの集計という付加価値が生まれづらい業務に追われ、

『こんなことをするために経営企画部や本社部門に来たわけではない。
早く仕組化し、業績の分析や戦略立案業務に比重をシフトしたい』

と嘆き、上申しても採用が進まず、中々プロジェクトが開始されないことがあるのですが、
その点についてはどう思われますか?

(藤永)実務担当をしている、あくまで個人的な立場からですが、プロジェクトを採用するにあたって、大きく3つの障壁があると思っております。
1つ目は前述の“トップダウン型数値調整”にシステムが対応するイメージを我々ユーザ側が持てないこと。特に実務を知っている方に多いと思いますが、予算の最終的な確定には各部の数値を“一括調整をしたり” 、勘定科目によっては特定の複数組織の数値を“調整をする”作業があります。
やはりそういったトップダウン型の“調整”をシステムで行えるイメージがつかないため、現行業務を全てシステム化するのは難しい、と思ってしまうのではないでしょうか?
2つ目は予算をたてる際の参照データの元システムが複数あり、情報の一元化が容易でないこと。
たとえば、売上であれば販売管理システム、経費であれば会計システム、人件費であれば人事システムと、予算をたてるためには複数のシステムにあるデータ(情報)と連携していなくてはなりません。
本来であれば基幹システムであるERPにそういった情報が一元化されているべきかもしれませんが将来に関する情報の保持は基幹システム設計のタイミングで優先度を下げたことや、仮に事業部の現場の人間が基幹システムを使って予算編成、予算管理を行うとなると
運用負荷がかなり高まる懸念を本部側は持ってしまいます。従って、現場部門がシステムを使った運用を現実的に考えづらい傾向があるのではないでしょうか?
3つ目は対象領域の選定と、そのシステム化における投資対効果の算出が難しいことです。
例えばオンプレミスのシステムの場合で言うと、システム化するには事前に要件を固めてから構築するのが一般的かと思いますが、そもそも中長期的な管理会計業務の要件を固めるのは難しく、要件が変更された場合には初期構築の内容を大幅に改修するなど、追加費用が発生する恐れがあります。
従って、どこまでをシステム化領域とすべきかという検討事項に加え、どの程度の費用が妥当なのかを判断するのが困難であり、以前の弊社のように現状のままスプレッドシートで管理していく、という考えに落ち着いてしまう場合が多いのかもしれません。
その点、今回Workday Adaptive Planningを弊社が採用した理由については既にお話しましたが、御社から提案をいただいた段階で、このような懸念点をすべて解消できていたというのは選定にあたって大きかったように思います。
また、海外拠点の現地通貨入力や為替換算といったグローバル展開が容易であること、予実管理に伴う様々な業務を各事業部内で行うことができる仕組みであることは、採用の際に、今後の拡張性という点で評価したポイントでした。

対談風景

■(小野)ありがとうございます。今回評価いただいた点を、弊社・Workday Adaptive Planningの価値として、今後訴求していきたいと思います。

ご提案時にお見せしたデータでもあるのですが、海外では第三者調査機関が充実しており、専門家の評価だけでなく、システム利用者による評価サイトも数多く存在しています。該当するIT製品の実利用ユーザの生の評価が得られるのは、非常に参考になりますよね。
今回採用いただいたWorkday Adaptive Planningは、他のページで記載の通り、Gartnerでは「市場に影響力のあるリーダー製品」と評価され、かつGartner Peer Insights(Gartnerが運営する、エンドユーザによるIT製品の評価サイト)でも、「戦略策定における業績管理ソリューション」という分野で評価が1位(評価:4.6/5.0)となっております。

※参考:Customers Give Adaptive Insights Top Ratings (On Gartner Peer Insights)

このような利用者による評価サイトは、業績管理ソリューションをこれから選定されるお客様にとっては大変有意義ですが、私共ITベンダーにとっては、今後非常に脅威な存在になると思います。なぜなら、今後はそれらの外部評価機関における実績が無い場合は提案に説得力が無くなり、結果として製品選定を行うお客様にお声掛けを頂けなくなるかもしれないからです。

(藤永)たしかに、検索サイトで自社の課題に合う製品を探すのは手間ですので、そういった先行した利用者によるIT製品の情報整理サイトに関する有用性は理解できます。
また、飲食店を探す際には事前に行ったことのある人の評価を参考にしていることを考えれば、そういったITソリューションがより日常の身近な“サービス化”しているように思えますね。

■(小野)そうですね。
日本では上記のような 利用者評価型サイトはまだそれほど普及していないと感じておりますが、海外展開を推進している弊社としては、今後もグローバルのトレンドを注視していきたいところです。また将来、そのようなサイトに製品が掲載したとしても、それを導入するプロジェクトマネージャーが良い評価を得られるような仕事をしていかなければなりませんね。

最後に、今後のWorkday Adaptive Planning活用における展望はどのようなことでしょうか?

(藤永)まず予算管理に関していうと、Workday Adaptive Planningのソリューションコンセプト(※参考画像2)にあるように、財務・経理部は計画値の集計業務から本来のミッションである「業績分析、戦略立案」業務へ比重を移し、現場は自分達が主体的に事業のPDCAを行えるような仕組みを作っていきたいですね。
また予算管理を含めた全体の業績管理においては、会社としての収益力強化のためWorkday Adaptive Planningを活用して様々な取り組みを推進することを検討しております。具体的に申し上げますと、EVA(Economic Value Added:経済的付加価値)のような資本コストを意識した現場へのKPIマネジメントの推進や、製品開発に伴う原価管理の実施による製品毎の採算性管理が直近の検討事項です。
さらに、Workday Adaptive Planning以外の取り組みとしても、豊田通商と一緒にRPA(Robotic Process Automation:ロボットによる業務自動化の取り組み)を実施しており業務全体の生産性向上を行っております。
変化が激しいマーケットに対し、現場が早期に意思決定を行える環境を整えることで事業の拡大に寄与し、エレクトロニクス業界のリーディングカンパニーとしての挑戦をよりドライブしていきたいと思います。

※参考画像2

※参考画像2

対談風景

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